0歳~15歳までの子どもを対象とした歯科です。この時期は歯が生え変わるタイミングでもあり、口の中は終始変化しています。その変化に合わせた治療を行い、口の中の健康に対する意識を高めるため、適切な歯磨き指導をして予防を習慣づけることも大切です。まだ上手に歯磨きができない小さなお子様には、フッ素を塗布する、歯の溝にシーラントを埋めるなどの方法で、虫歯になりにくい環境を作ってあげることもできます。小児歯科の目的は「お口の中の環境を整えて、大人の歯がしっかりと生えて噛める状態になるようにする」ことです。そのためには子どもの歯からしっかり守ることが大切となります。
虫歯になりにくい口にするためには?
生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中は無菌状態で、虫歯菌はいないと言われています。虫歯は感染症です。つまり、お口のスキンシップなどを通じて周囲の大人(特に両親)からお子様のお口に虫歯菌が移り、感染してしまいます。虫歯菌に感染しやすい時期は、生後6ヶ月~3歳の間です。この間に、お子様と同じ箸やスプーンを共有しない、噛み与えをしない等のお口のスキンシップを控えることで、その後の人生で虫歯や歯周病になりにくいお口の環境を作ってあげることができます。最近の研究では子どもの歯を虫歯になりづらくするために、子どもが3歳になるごろまで両親の口腔内をきれいに保つことが子どものお口の中の細菌数を減らすことに大きな効果を発揮することがわかっています。また両親の歯磨きが良くできていない場合、仕上げ磨きもうまくできていないことが多いため、子どもの歯のために両親の歯の状態も見直すことが大切です。
当院での治療方針
お子様は大人と比べ小さな痛みに対してもとても敏感です。痛みを感じるほど恐怖感が強くなり治療が難しくなることが多いため、大人では麻酔をするほどではない治療だとしても麻酔をして治療を行っていきます。なお小児歯科治療では大人用の通常の針よりも細い小児用の針を使用して麻酔を行っています。また、なぜ虫歯になってしまったかという原因をしっかりと改善してあげなくてはすぐに新たな虫歯が発生してしまうのも乳歯の特徴です。あまり虫歯が進行してしまうと根の病気になり、今度は大人の歯(永久歯)に悪影響を及ぼすこともあります。当院では歯磨き指導やフッ素塗布などを併用し、生え変わる歯のことも考慮した予防処置も併せて行っていきます。
治療ができない場合
お子様は基本的に歯科治療に対して強い恐怖心があり、治療に前向きにはなりづらいものです。ですからお子様ともしっかりとコミュニケーションをとり、治療を進めていくことがとても大切になります。しかしながら、歯を削る器具はとても危険なものであり、頬や舌などの粘膜が触れれば一瞬で大きく傷つけてしまうことも考えられます。また大人の力で無理に抑えつけて治療を行うと、子どもの体も傷つけてしまいかねません。ですので、あまりに暴れてしまったり治療が難しい場合は、お子様の安全のため治療を一度中断せざるを得ないこともございます。そういった場合は、再度クリーニングや歯磨き指導から歯科治療に慣れていただく必要があります。普段から定期的な通院で歯磨き指導やフッ素塗布を行っていると、治療もスムーズに入れることが多いので、お痛みや問題がなくても定期的な通院で予防治療を行ってあげることをおすすめしております。
外傷で歯が抜けた・揺れてしまった場合
まず体や頭部に他に怪我がないかどうかをご確認ください。頭を強く打ったり、その疑いがある場合は、必ず先に医科を受診しましょう。来院される際は必ず電話で当院までご連絡ください。手術中の場合、すぐに処置が行えないこともございます。
抜けてしまった歯は歯の救急保存液に入れて受傷後30~60分以内にお越しください。保存液がない場合は市販の牛乳で代用できますが、可能であれば保存液をお使いください。(水道水にいれるのは避けてください)。揺れた歯や抜けた歯は、他の歯と固定し、治癒を待つことになります。また必要に応じて根の治療や虫歯治療も行います。歯が完全に折れてしまっている場合は抜歯となることもあります。
歯肉炎と若年性歯周病
歯周病は大人の病気だと思っている方が多いと思います。しかし歯周病も細菌による感染症であり、お口の中にはすでに住み着いてしまっています。ほとんどの場合で成人になってから症状が出てきますが、歯茎からの出血などの症状は未成年であってもみられます。また若年性歯周病といって未成年だとしても歯周病により歯を支える歯槽骨を失うこともあります。これらの炎症は成人になればそのまま歯周病に移行してしまいますので、未成年のうちからお口のお手入れをしっかりできるようにしておくことで、成人後に歯を失うリスクを大きく減らすことが可能です。歯茎の赤みや出血があるようであれば、未成年であっても歯科医院を受診し、適切な治療を受けることが大切です。