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親知らずについて


こんにちは。院長の林です。

今回は親知らずについて説明していこうと思います。

親知らずは正式名称は『第3大臼歯』といいます。前から数えて8番目にあたる、大きな歯です。

他の永久歯は6~12歳ごろに生え変わりますが、この親知らずは18歳ごろから生えてくることが多く、『智歯』とも呼ばれます。

智恵がついてから生えてくる歯 という意味です。

 

親知らずはそもそも人間に生えてくる歯の1つであり、決して無駄な歯ではありませんでした。しかし、最近はそうも言ってられなくなってきました。

現代人は『調理』を行うことで、食べ物を柔らかくして食べます。その結果、顎の骨のサイズがどんどん人類は小さくなってきているのです。

それによって親知らずが生えるための顎の骨が足りなくなり、さまざまな問題が起きてきています。

 

顎の骨が足りない親知らずは生えてこなかったり、横に向いて生えてきます。

生えてこないならばまだいいのですが、横に向いていたり、中途半端な生え方をしてしまうと問題が起きてきます。

汚れがたまり、それを除去できないことで、虫歯や歯周病などの病気を引き起こします。

生え方によってはいくら努力して磨いてもきれいにできない状態が発生してしまうのです。

そして手前の歯まで虫歯にしてしまったり、歯周病で共倒れに近い状態が起きてきます。

ですから親知らずは『抜かないといけない歯』になってきてしまったのです。

 

もし、しっかりとまっすぐに親知らずが生えていて、ちゃんと上下で咬みあっているなら親知らずを抜く必要はありません。

しっかりと磨いてあげれば問題はないのです。

ただ、どうしても磨けないようであれば、結局虫歯や歯周病が進行し痛い思いをすることになってしまいますから、早めに抜歯することも選択できます。

 

親知らずが悪くなる原因も、虫歯菌や歯周病菌による感染です。

もし、いま痛くないからと放っておいたとして、将来的に体の病気になってしまい免疫力が低下してくると、急に痛くなってくることも考えられます。

風邪をひいたあとや、インフルエンザになったあとに歯が痛くなったり、体の病気で入院していたら歯が悪くなってしまったという人はとても多いのです。

しかしその体の病気の状態によっては抜歯を行うことができない方もいます。

重度の糖尿病や、高血圧症で血が止まりにくい薬を飲んでいる方、悪性腫瘍で抗がん剤治療を行っている方、骨粗鬆症でビスフォスフォネート製剤を服用されている方などは抜歯を行うことが容易にはできないケースとなります。

それでも横に生えていたり、埋まっている歯は抜歯以外の治療ができないため、痛み止めで我慢するしかないことも多いのです。

 

実際、私の親知らずは生えていませんでしたが、20代のころに全て抜歯しました。

やはりそういった抜きたくても抜けなくなってしまい苦しんでいる患者さんを目で見てきたので、将来的なリスクは減らそうと思って抜歯をしたのです。

ですから今はそのリスクが今後ないと考えられるので、抜歯をしてよかったと私個人としては思っています。

 

もし痛みが過去にあったりしたならば、繰り返すことが予想されますので、痛くないうちに手を打ってあげたほうがいいかもしれません。

もちろん親知らずの抜歯は楽しいことではなく、術後に痛みや腫れが出てしまうこともあります。

痛みや腫れの出方は個人差があり、抜いてみないとわからない部分です。

(抜歯は骨に力をかけて行います。捻挫や突き指でどれぐらい腫れるかに個人差があるのと同じく、抜歯での腫れ方にも個人差があります。)

 

なんでもかんでも抜けばいいわけではありませんので、お口の状態やお体の状態と相談して抜歯をするかどうかも検討しなくてはなりません。

またきれいに生えていて、虫歯などの病気になっていなければ、将来的に治療して悪くなった他の歯を補うことや、移植を行うことも検討できます。

そういったメリットが親知らずにはありますが、最低限病気にしないで保っておくことができるかどうかが重要となります。

 

また抜く際には顎の骨の中にある血管、神経や副鼻腔などの構造物にダメージを与えないように考慮しながら行います。

安全性が確保しにくい場合は、専門病院での抜歯をおすすめすることもあります。

当院の口腔外科処置に関するページに親知らずの抜歯に関するデメリットなども記載されておりますので、よろしければご覧になってみてください。

 

結論としては親知らずを抜くかどうかは生え方やお手入れ方法に依存します。

しっかりと噛んで食事をとり続けられるように、治療の方針や抜歯するかを決定していくことが大切です。

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